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アメリカ合衆国の医療費の桁外れの金額は世界に知れ渡っています。
米国の医療費の高騰ぶりには、世界中の人が驚きを隠せません。 イタリア人男性が、イタリアで約6週間入院していましたが、 治療費の患者負担はゼロでした。 ところが、このかたが、その後、米国で33時間だけ病院に滞在しましたが、 請求額は11,000ドルでした。 米国人にとっても状況は同じく、 たとえば、虫垂炎はアメリカでは通常一泊二日の手術です。 健康保険に加入している場合、 患者の負担は5000ドル前後が一般的です。 アメリカの健康保険には、Deductible(ディダクタブル)という 自己負担上限額が設定されており、 その金額に至るまで保険加入者である患者が自己負担しなければなりません。 保険加入時にディダクタブル上限額を指定できますが、自己負担額が低くなれば なるほど、毎月の健康保険料は高くなります。 そして、この自己負担上限額を保険加入者が支払った時点から その超過額を保険会社が支払い開始します。 勤務先が医療関係であったり、大手企業で手厚い福利厚生がある場合は、 自己負担上限が2500ドルほどにとどまるケースもありますが、 それはラッキーなケースと言えます。 いっぽう、病院間では、患者獲得バトルが激しく繰り広げられています。 例をあげますと、アリゾナ州の某NPO病院は3か所に病院を設置しています。 1か所は、歴史が古く、ダウンタウンに所在しており、 患者のタイプも富裕層からホームレスまで様々です。 屋上にはヘリポートもあり、高度の治療を必要とする救急患者が 州内の遠隔地から絶え間なく運ばれてきます。 手狭になったことに加え、東部から温暖なアリゾナへ寒さを逃れてくる 高齢者の数も増えてきましたので、2か所目の病院が建設されました。 全室個室のバージョンアップ版で、院内にはスパやブティック、 本格的カフェも設けられました。 しかし、病院であるイメージは拭いきれません。 富裕層にとっては、病院らしい環境を好まない傾向が強いこともあり、 しびれを切らせたスーパーリッチな方による土地と資金の寄付により、 癒しをコンセプトとした静かな環境の病院が建てられました。 禅庭園では、瞑想もできるようスペースもあります。 3施設とも、食事は、ホテルのルームサービスのように 患者の好きな時間にいつでもオーダーできます。 院内メニューの一部をご紹介しましょう。 上記で説明したアリゾナ州の病院ではありませんが、 ホテル指向の院内メニューは、各病院類似しています。 味もまずまずですし、口の超えた医師たちも頻繁に利用しています。
なかには、入院患者に「イタリアンアイスクリームはとても美味しい。 入院中に是非とも食してください」等と、自分の好みを 薦める医師もいる程です。 病院によっては、院内レストランのメニューを患者ではないコミュニティ住民向けに、 テイクアウト用の注文もネットや電話で受け付けています。 もっとも、メニューは糖尿病、減塩、などを意識しています。 日本のようにデパ地下が身近にありませんので、なかなかいい試みです。 高齢者や病人には重宝するサービスになるかも知れません。 ただし、病院=病人のイメージを払拭できなければ、コミュニティーに広がるとは 思えない状況です。 |
どの写真が病院か判りますか。 下の写真ですが、どれがホテルか病院か区別できますか。
出所: The New York Times
左側カラムが病院、右側がホテルです。 医療費の高騰が原因で、病院間の高級指向が繰り広げられるのか、 それとも、高級化のために医療費が高騰したのかは、今となっては言及できません。 しかし、病院間の吸収合併や差別化によるパワーアップで、 患者奪い合いバトルは、まだしばらく続きそうな気配です。 どんなに高級化が進んでも、病院には出来る限り距離を置きたいものです。 |