インドの教育制度
全体像を大まかに説明します。
年少組と年長組に分かれた幼稚園、いわゆる
プリスクールがあり、その後、プライマリー/
セカンダリースクールが10年間です。
10年生は、受験年でもあります。
10年生を終了すると、プリカレッジ/プリユニバーシティ
(大学準備学年)コースで2年間就学します。
10+2システムと呼ばれています。
その後、学士コースがありますが、
芸術/科学/商学は3年間、エンジニアリングや医学部は
4年間です。
学士コースの後は、マネジメントや博士課程等の大学院です。
基礎的(ベーシック)学位/免状を取得するには合計
15年間(10+2+3)、専門(プロフェッショナル)学位には
16年間(10+2+4)の教育年数が必要です。
大学院は1年半から2年間ですが、
博士課程の場合は更に3年から5年です。
(以下、会話は、過去のインタビューからの内容です。
文中のQ:はTransdiscoveries、
ギ:はG カルカーニ氏の省略です。)
Q: 今日は、インドの教育制度について
教えていただきたいと思います。
ギ:では、プレイスクールから詳しく説明して
いきたいと思います。
プリスクール/幼稚園の前にプレイスクールに通う
場合もあります。
プレイスクールには何歳からでも入園できます。
Q: 年齢規定はないのですか。
ギ: はい。1歳からでも利用できます。
プレイスクールには、何歳に到達しないと
入園できないという規定はありません。
幼稚園の年齢に達するまでプレイスクールに通えます。
Q: 幼稚園の入園年齢はいくつでしょうか。
ギ: 4歳から5歳です。
Q: 小学校の就学年齢は何歳ですか。
ギ: 5歳10ヶ月が小学校への就学年齢です。
しかし、この就学年齢は州によって若干の相違があります。
Q: 日本の入学月は4月ですが、インドはいつでしょうか。
ギ: 6月です。インドの4月と5月は非常に暑いので
夏休みの最中です。
Q: インドは国土が広いですが、
夏休みも州によって異なるのでしょうか。
ギ: いいえ。4月と5月はインドのどの地域でも夏ですから、
それほど変わりません。
Q: 小学校は何年間ですか。
ギ: ここでは小学校はプライマリースクールと呼ばれ、
10年間です。1年生から始まり10年生までです。
そして、この10年生が受験年です。
Q: 10年生で受験ですか? 大学ですか。
ギ: いいえ。11年と12年は、大学準備学年です。
Q: 10年生は日本でいう高校1年生ですね。
確かに大学を意識する頃ですね。
ギ: 12年生(これも州や教育委員会によって名称が変わります)
の成績が、大学入学を左右する競争の厳しい学年で
みんな必死です。
Q: 12年までが高校ですか。
ギ: 10年までです。
Q: 10年??? プライマリー/セカンダリー
スクールですよね。
ギ: 11年と12年はプリカレッジと呼ばれています。
大学と提携した専攻科目も履修します。
インドでは厳格に「高校」という言葉は使われていません。
一般的に5年生までが小学校で、
6年から10年までが高校として扱われています。
Q: なるほど。
ギ: しかし、1年から10年までは一括りです。
私のところでは、7年まではプライマリースクールで、
8年から10年までが高校でした。
Q: 貧しい家庭の子供たちは学校に通っていないようですが、
授業料の関係でしょうか。
ギ: 教育内容の質に問題はあるようですが、
パブリックスクールで授業料が非常に安い学校もあります。
貧しい家庭の子供たちが学校に通わない理由は
学費以外の問題です。労働により多少なりとも
一家の稼ぎ手になっている場合、学校に通わせていません。
多くの州では、義務教育制度を設けています。
しかし、貧しい家庭では様々な経済的理由で
子供を学校に通わせられないとインド政府や
NGO団体が報告しています。
(International Council for Science に詳しい。英語のみ。)
Q: そうですか。
インド人の中には、非常に流暢な英語を話す方と
そうではない方がいらっしゃいますが、
これはパブリックかプライベート スクールの
違いが原因するのでしょうか。
ギ: そう解釈できる場合もあります。
しかし、プライベート スクールがどこでも
優れているという事ではありませんし、
パブリックスクールにも難関校が数多くあり、
レベルは様々です。
学校だけではなく、家庭環境が
英語力に影響する場合もありますね。
Q: プライベートスクールの学費は高額ですか。
ギ: これも様々です。
授業料の安いパブリックスクールで非常にレベルの高い
学校もあります。しかし、入学難関校です。
また、プライベートスクールにも安い授業料で
高い水準の教育を提供している人気校もあります。
入学試験は親子ともに受けます。
受験制度は幼稚園にもあります。
Q: 日本と同じですね。
ギ: プライベートスクールの中には寄付を
義務付けている学校もあります。
Q: 保護者の入学試験とおっしゃいましたが、
どういう内容ですか。
ギ: 大半は面接試験です。親の面接試験結果が芳しくない場合には、
勿論、子供がどんなに頑張っても入学できません。
面接では、両親の教育水準、礼儀、職業、家庭環境、
一般教養レベルなどを判断するものです。
Q: 親の面接は子供同席ですか。別席ですか。
ギ: 別々です。
Q: すみません。試験で思い出しましたが、先ほどの
プライマリースクールの事ですが、プリカレッジへの
入学試験はあるのですか。
ギ: いいえ。しかし、10年生時の成績次第で、11年への
進学が決まります。11年と12年に優秀な学校へ進学を
希望するならば、10年時の成績は抜群でなければなりません。
第一希望校が駄目ならば、第二希望校となるわけです。
Q: 何処も同じですね。
11年時には、専攻を決定しなければならないので、
10年時は、とても大変のようですね。
ギ: その通りです。
Q: では、次に大学の事を教えてください。
ギ: 12年を終了したら大学です。あっ、11年と12年に関して
後ひとつ付け加えさせてください。
サイエンス、商業、芸術など専門課程に特化しますが、
10年までは選択科目はありますが、全員同一科目を履修します。
Q: 大学ではテキストを購入しなくて良いということを以前
伺った事がありますが、本当ですか。
ギ: 私の大学(インド工科大学)の場合には学生が購入しました。
図書館にテキストの蔵書はありますが、人数分はありません。
しかし、インドではテキストはあまり高くありません。
大学には、色々な専門分野があります。芸術、サイエンス、
商業等のベーシックコースと
エンジニアリング、医学等のプロフェッショナルコースです。
大体の場合、入学試験があります。
Q: 何月ですか。
ギ: 6月と7月です。この時期には
毎日、新聞紙上に有名校の入学最低点が
掲載されています。
最近発表された情報によると、デリーの有名大学の
ベーシックコースの合格ラインは95点から97点です。
プロフェッショナルコースには州あるいは国レベルの
共通テストを受験しますが、かなりの難関です。
例えば、2003年度のIIT(インド工科大学)の
受験者数は18万人で、合格者数は4500人でした。
医学部やマネジメントコース
(例:Indian Institutes of Management)への
入学も同様に厳しいです。
Q: 6月が入学なのに、1年前に試験ですか。
ギ: 6月の入学はプライマリースクールです。
大学は7月か8月が入学です。
試験の採点や事務手続きが必要になるからです。
Q: 外国人として興味がありますが、
外国人生徒の留学状況は如何でしょうか。
ギ: 今のところ、海外からの留学生にはあまり
お会いしたことがありません。
文化交流プログラム等の外国人学生は
時々いらっしゃいます。
Q: そうですか。
ギ: しかし、状況は徐々に変わっているようです。
例えば、マネジメントスクールでは、ウォートン、
エール、マサチューセッツ工科大学等、
著名な大学からの交換留学生を受け入れています。
日本からの留学生に私自身は今のところ
お会いしたことはありませんが、
きっといらっしゃるはずです。
Q: いい傾向ですね。
今日は、プレイスクールに始まり大学に至るまで
インドの教育制度について教えていただきまして、
どうもありがとうございました
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年少組と年長組に分かれた幼稚園、いわゆる
プリスクールがあり、その後、プライマリー/
セカンダリースクールが10年間です。
10年生は、受験年でもあります。
10年生を終了すると、プリカレッジ/プリユニバーシティ
(大学準備学年)コースで2年間就学します。
10+2システムと呼ばれています。
その後、学士コースがありますが、
芸術/科学/商学は3年間、エンジニアリングや医学部は
4年間です。
学士コースの後は、マネジメントや博士課程等の大学院です。
基礎的(ベーシック)学位/免状を取得するには合計
15年間(10+2+3)、専門(プロフェッショナル)学位には
16年間(10+2+4)の教育年数が必要です。
大学院は1年半から2年間ですが、
博士課程の場合は更に3年から5年です。
(以下、会話は、過去のインタビューからの内容です。
文中のQ:はTransdiscoveries、
ギ:はG カルカーニ氏の省略です。)
Q: 今日は、インドの教育制度について
教えていただきたいと思います。
ギ:では、プレイスクールから詳しく説明して
いきたいと思います。
プリスクール/幼稚園の前にプレイスクールに通う
場合もあります。
プレイスクールには何歳からでも入園できます。
Q: 年齢規定はないのですか。
ギ: はい。1歳からでも利用できます。
プレイスクールには、何歳に到達しないと
入園できないという規定はありません。
幼稚園の年齢に達するまでプレイスクールに通えます。
Q: 幼稚園の入園年齢はいくつでしょうか。
ギ: 4歳から5歳です。
Q: 小学校の就学年齢は何歳ですか。
ギ: 5歳10ヶ月が小学校への就学年齢です。
しかし、この就学年齢は州によって若干の相違があります。
Q: 日本の入学月は4月ですが、インドはいつでしょうか。
ギ: 6月です。インドの4月と5月は非常に暑いので
夏休みの最中です。
Q: インドは国土が広いですが、
夏休みも州によって異なるのでしょうか。
ギ: いいえ。4月と5月はインドのどの地域でも夏ですから、
それほど変わりません。
Q: 小学校は何年間ですか。
ギ: ここでは小学校はプライマリースクールと呼ばれ、
10年間です。1年生から始まり10年生までです。
そして、この10年生が受験年です。
Q: 10年生で受験ですか? 大学ですか。
ギ: いいえ。11年と12年は、大学準備学年です。
Q: 10年生は日本でいう高校1年生ですね。
確かに大学を意識する頃ですね。
ギ: 12年生(これも州や教育委員会によって名称が変わります)
の成績が、大学入学を左右する競争の厳しい学年で
みんな必死です。
Q: 12年までが高校ですか。
ギ: 10年までです。
Q: 10年??? プライマリー/セカンダリー
スクールですよね。
ギ: 11年と12年はプリカレッジと呼ばれています。
大学と提携した専攻科目も履修します。
インドでは厳格に「高校」という言葉は使われていません。
一般的に5年生までが小学校で、
6年から10年までが高校として扱われています。
Q: なるほど。
ギ: しかし、1年から10年までは一括りです。
私のところでは、7年まではプライマリースクールで、
8年から10年までが高校でした。
Q: 貧しい家庭の子供たちは学校に通っていないようですが、
授業料の関係でしょうか。
ギ: 教育内容の質に問題はあるようですが、
パブリックスクールで授業料が非常に安い学校もあります。
貧しい家庭の子供たちが学校に通わない理由は
学費以外の問題です。労働により多少なりとも
一家の稼ぎ手になっている場合、学校に通わせていません。
多くの州では、義務教育制度を設けています。
しかし、貧しい家庭では様々な経済的理由で
子供を学校に通わせられないとインド政府や
NGO団体が報告しています。
(International Council for Science に詳しい。英語のみ。)
Q: そうですか。
インド人の中には、非常に流暢な英語を話す方と
そうではない方がいらっしゃいますが、
これはパブリックかプライベート スクールの
違いが原因するのでしょうか。
ギ: そう解釈できる場合もあります。
しかし、プライベート スクールがどこでも
優れているという事ではありませんし、
パブリックスクールにも難関校が数多くあり、
レベルは様々です。
学校だけではなく、家庭環境が
英語力に影響する場合もありますね。
Q: プライベートスクールの学費は高額ですか。
ギ: これも様々です。
授業料の安いパブリックスクールで非常にレベルの高い
学校もあります。しかし、入学難関校です。
また、プライベートスクールにも安い授業料で
高い水準の教育を提供している人気校もあります。
入学試験は親子ともに受けます。
受験制度は幼稚園にもあります。
Q: 日本と同じですね。
ギ: プライベートスクールの中には寄付を
義務付けている学校もあります。
Q: 保護者の入学試験とおっしゃいましたが、
どういう内容ですか。
ギ: 大半は面接試験です。親の面接試験結果が芳しくない場合には、
勿論、子供がどんなに頑張っても入学できません。
面接では、両親の教育水準、礼儀、職業、家庭環境、
一般教養レベルなどを判断するものです。
Q: 親の面接は子供同席ですか。別席ですか。
ギ: 別々です。
Q: すみません。試験で思い出しましたが、先ほどの
プライマリースクールの事ですが、プリカレッジへの
入学試験はあるのですか。
ギ: いいえ。しかし、10年生時の成績次第で、11年への
進学が決まります。11年と12年に優秀な学校へ進学を
希望するならば、10年時の成績は抜群でなければなりません。
第一希望校が駄目ならば、第二希望校となるわけです。
Q: 何処も同じですね。
11年時には、専攻を決定しなければならないので、
10年時は、とても大変のようですね。
ギ: その通りです。
Q: では、次に大学の事を教えてください。
ギ: 12年を終了したら大学です。あっ、11年と12年に関して
後ひとつ付け加えさせてください。
サイエンス、商業、芸術など専門課程に特化しますが、
10年までは選択科目はありますが、全員同一科目を履修します。
Q: 大学ではテキストを購入しなくて良いということを以前
伺った事がありますが、本当ですか。
ギ: 私の大学(インド工科大学)の場合には学生が購入しました。
図書館にテキストの蔵書はありますが、人数分はありません。
しかし、インドではテキストはあまり高くありません。
大学には、色々な専門分野があります。芸術、サイエンス、
商業等のベーシックコースと
エンジニアリング、医学等のプロフェッショナルコースです。
大体の場合、入学試験があります。
Q: 何月ですか。
ギ: 6月と7月です。この時期には
毎日、新聞紙上に有名校の入学最低点が
掲載されています。
最近発表された情報によると、デリーの有名大学の
ベーシックコースの合格ラインは95点から97点です。
プロフェッショナルコースには州あるいは国レベルの
共通テストを受験しますが、かなりの難関です。
例えば、2003年度のIIT(インド工科大学)の
受験者数は18万人で、合格者数は4500人でした。
医学部やマネジメントコース
(例:Indian Institutes of Management)への
入学も同様に厳しいです。
Q: 6月が入学なのに、1年前に試験ですか。
ギ: 6月の入学はプライマリースクールです。
大学は7月か8月が入学です。
試験の採点や事務手続きが必要になるからです。
Q: 外国人として興味がありますが、
外国人生徒の留学状況は如何でしょうか。
ギ: 今のところ、海外からの留学生にはあまり
お会いしたことがありません。
文化交流プログラム等の外国人学生は
時々いらっしゃいます。
Q: そうですか。
ギ: しかし、状況は徐々に変わっているようです。
例えば、マネジメントスクールでは、ウォートン、
エール、マサチューセッツ工科大学等、
著名な大学からの交換留学生を受け入れています。
日本からの留学生に私自身は今のところ
お会いしたことはありませんが、
きっといらっしゃるはずです。
Q: いい傾向ですね。
今日は、プレイスクールに始まり大学に至るまで
インドの教育制度について教えていただきまして、
どうもありがとうございました
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