職業ランキング
STEM分野の卒業生の就職先
[Video credit: US Census Bureau]
STEMとは、Science, Technology, Engineering, Mathのそれぞれの頭文字をとった理数系の総称です。
アメリカでは、理数系に天才的に優れたいる人がいるいっぽう、暗算すら苦手な人が大勢います。
今のようなハイテク時代には、理数系出身者のニーズが高いことは言うまでもありません。
普通の公立小学校では、入学時は児童全員にノートパッドを配布しているところがほとんどです。
テクノロジーを使いこなせることが、教師の条件にもなっています。
動画などを活用することにより、児童の宿題や予習への取り組み姿勢が大きく変わってきています。
将来への有望性、高収入など、理由は様々でしょうが、STEM分野に興味を持っている人たちが増えています。
では、人気のSTEM分野の卒業生の就職の現状です。
米国の国勢調査によると、STEM系の大学卒業生の就職率は高いようですが、
一概に、STEM分野の業界に就職したとは限りません。
学部により差があります。
例えば、エンジニアリング専攻の場合は、多くが同分野に就職します。
バイオロジー専攻の場合は、STEM業界ではなく、ヘルスケア業界への就職が目立ちます。
エンジニアリングの卒業生はほとんどが男性で、一番の高収入グループ($92,200-/年)です。
女性にエンジニアリングは不人気なようで、未だわずか14%です。
女性に人気の理数系分野は、数学/統計学(45%)、ライフサイエンス(47%)、社会科学(47%)。
コンピュータ系は24%ですが、それでもエンジニアリングを上回っています。
各校とも、エンジニアリング分野への女性の入学者数増加に力を入れています。
マサチューセッツ工科大学では、女性の入学希望者のうち15%が入学許可を受けており、
男性は7%に抑えられています。
カリフォルニア工科大学では、女性が20%、男性が9%の合格率です。
STEM系の有名校の中には、女性の入学者が半数に至っているところもあります。
今のシリコンバレーでは、男性の社員割合が圧倒的です。
女性が理数系に弱い、関心がない等々の一説がありましたが、
この数年の理数系に進学する女性の増加は、それを否定する結果です。
これまで女性がSTEM分野から距離をおいていたのは、本人の選択というよりも、
親が「女の子」という枠にはめて育てた結果と言えそうです。
[参照:米国国勢調査局、USA Today]
2014年人気職業ランキングと収入(アメリカ)
医療関連の職業は、Recession Freeと言われ、不景気の悪影響を受けない職業とされています。
アメリカの2014年の人気職業ランキングを見るとやはりそのような結果が如実に表れています。
(注:医師のみ年収平均値、他は中央値。)
1. ソフトウェア開発者($90,060−)
2. コンピュータシステムアナリスト($79,680−)
3. 歯科医($145,240−)
4. ナースプラクティショナー($89,960−)
5. 薬剤師($116,670ー)
6. 看護師($65,470−)
7. 理学療法士($79,860−)
8. 医師($191,520−)
9. ウェブ開発者($62,500−)
10. 歯科衛生士($70,210ー)
上位10位のうち、1位、2位、9位を除く7つが見事に医療関係の職業で占めています。
歯科医は、日本同様、街角のあちらこちらにDentistryの看板を見かけます。
アメリカでの実感は、総じて、歯科を経営(自営)している歯科医は、非常に経験が豊富です。
高齢化が進んでいるので、歯科医のニーズはこれからも高くなる見込みです。
人気の職業とは言っても、腕と評判に強く影響されますので、格差があるのも見逃せない現実です。
4位のナースプラクティショナーは、日本で導入可否を検討しているようですが、
患者の診断や処方箋を発行できます。非常にステータスの高い職業です。
現役ナースプラクティショナー(NP)の中には、看護師補助からキャリアを始め、
仕事と学校と家庭を両立させながら大学院まで終了し、NPまで登りつめた優秀な人たちが大勢います。
NPの中には、患者の診断の傍ら、大学で教鞭をとっているケースもあります。
米国は各大学ともオンラインコースが充実しているため後継者指導のチャンスには事欠かないそうです。
当初、大学院まで卒業するならば、医療業界の最高峰と言われる医師をなぜ目指さないのか、と疑問に思っていました。
しかし、家族に医療系の職業の人たちがいる場合、NPを好むケースが多いようです。
日本で言う、ちょっとした時に気軽に駆け込める町医者的な存在がNPのように実感します。
大学院レベルまでの教育が必要になって当然のプロフェッションです。
日本で言う、掛かり付けの家庭医的な医師は、Primary Care Physician (PCP)と呼ばれています。
日本の家庭との大きな違いは、予約なしで駆け込むことが出来ない点です。
問い合わせや予約で電話をかけるとわかりますが、
「もしも緊急事態でしたら、すぐにこの電話を切って、救急隊(911)に連絡してください」と自動音声が流れます。
患者にとって、PCPの役割は、定期検診を受け、
自分自身の身体の最新状態を把握している心強い味方という感じです。
専門医の診断が必要になると信頼できる医師を紹介してもらえます。
万が一、入院した場合には、医師グループの一元管理先になりますので、
見知らぬ医師たちによる臨床実験のようなリスクを回避できます。
ステータスが高いと言えば、薬剤師もそのひとつです。
患者へのコンサルテーションは勿論、ドラッグストアーでの予防接種は薬剤師が行えます。
この職業も大学院卒業が条件です。
州によって異なる場合があると思いますが、アリゾナ州では受験条件に、
薬局でのボランティア活動経験が条件として入っています。
熱心な学生は高校3年頃から病院等でボランティアを開始し、大学時代は夏休みの間もボランティア活動を続け、
卒業後の就職に結びつけるネットワーク作りに努力しています。
もっとも、ボランティアでネットワーク作りに精を出しているのは医学部生も同じです。
看護師は、医療業界の中では、短大卒業(Associate Degree)で受験できる数少ない資格のひとつです。
しかし、現状では、入学までに3年間のウェイティングリストという人気ぶりです。
また、実社会では、4年制大学の学位を強いる雇用主が増え、遅かれ早かれ学士号取得は暗黙の了解になっています。
高度化する医療技術に対応するには当然の傾向と言えます。
特に、大病院勤務の場合、ナースマネジャーに昇進するには、
仕事の傍ら学校に復帰しなければならない厳しい状況に置かれています。
退職間近の人たちからは、学業に取り組む意気込みは感じられませんが、
若い世代では、子供たちが小学校に入る頃になると、
やる気満々で家庭と仕事と学業をパワフルに要領よくこなしています。
かつては、ピンクカラーと言われる職業でしたが、長引く不景気の中、男性の参入者が増え、重宝されています。
ヘビー級の患者が多いアメリカですから筋肉が必要ですね。
[参照:US News]
4年生大学を卒業せずに参入できる高収入職業
歯科衛生士($70210ー)
パラリーガル($46990ー)
看護師($65470ー)
警察官($55270ー)
コンピュータプログラマー($74280ー)
(注:カッコ内は年収中央値)
パラリーガル($46990ー)
看護師($65470ー)
警察官($55270ー)
コンピュータプログラマー($74280ー)
(注:カッコ内は年収中央値)