世界一口うるさいと言われる日本人を満足させれば、
世界中の客を満足させられる、とも言われています。
確かに「商品」レベルについては、ユーザーのことをしっかり考慮したデザインは、
世界のトップクラス。
ところが、「商品」や「モノ」ではなく、
「サービス」レベルとなると少し改善が必要になるような気がします。

実際に経験したことです。
諸用で外出した帰り際、駅前のレストランでカレーライスを
食べることにしました。
サッサと食べて、帰宅してのんびりしたかったためです。
美味しく食べていたのですが、半分も食べ終わらないうちに、
なんと、私のカレーに針金を発見しました。
たぶん、ポテトを洗うときにでも使ったと思われる、
例のクネクネしたスチールタワシの一部であることは一目瞭然。
すぐに、店員さんに報告したら、「あっ、すみません。すぐに新しいカレーを持ってきます。」と。
えっ、同じ鍋で作ったのでしょう?
気持ちが悪いので断りました。
ところが、店員さんは、無視して、新しい皿にカレーを盛ってきましたが、
まったく手をつけられませんでした。
たぶん、マニュアルどおりの対応だったのでしょう。
しかも、帰るときには、詫びることもなく、しっかりと料金を請求されました。
新しい皿と入れ替えたから問題ないでしょ!と、いわんばかりの態度で
悪びれた様子はまったく伺えませんでした。
それ以来、もちろん、そこのお店には二度と入りませんでした。
それどころか、そのお店の前を通るたびに、
「実はね、ここのカレー・・・」と、話題に花を咲かせました。
日本のレストランの店員さんは、
マニュアルどおりの対応しかできない場面を幾度も見たことがあります。
忠実に教わったとおりに行動することはとてもいいことでしょう。
機械が相手であったり、工場でしたら、絶対に従うべきことです。
ところが、「カスタマーサービス」となれば、人がつきもの。
個々人、考え方や反応が違います。
そこが難しいところ。
仕事の関係上、アメリカ人やカナダ人と外出することが多かったのですが、
人によっては、マクドナルドであってもなにかと特別の注文をします。
そして、対応が気に入らなかったら、二度とそのお店を利用しません。
それ以上に怖いのは、今は、誰もがネット上でフィードバックを公開できる時代になったことです。
日本語であれ、英語であれ、世界中の人たちと情報をシェアできます。
針金入りのカレー。
あのとき、料金を請求されなかったら、
少なくとも今頃は、私のメモリーからは消去されていたことでしょう。
ましてや、知り合いたちに話すこともなかったでしょう。
今日、ある記事を読んでいて5年以上も前のことを思い出してしまいました。
客というものは、僅かなことであっても、いやな体験はいつまでも覚えているのかも。