そういう事とは想像すらしていない幹部は、態度が横柄だと激怒。
翻訳ができるのに、会話ができないとは、信じてもらえなかったそうです。
多分、翻訳に熱中していて、咄嗟に頭の切り替えができず、反応できなかったのだと思います。
この話しを聞かされたのは、プロジェクトが始まって間もない頃でした。
つまり、この翻訳者は、経験上の教訓として、事前の保身として、
プロジェクトの関係者全員に、英語での会話は苦手だという事を知らせておきたかったのです。
職業(ポジション)が「翻訳者」というタイトルになると、
英語でのコミュニケーションが出来て当然だと、周囲の人たちはデフォルトで思い込みます。
そして、必然的に求められるクオリティーも高くなります。
どんな仕事や業界でも、人が関わっている以上、コミュニケーションは不可欠です。
仕事に没頭しているときであっても、話しかけられたら、嫌な顔をせずに、手を止め、
顔を上げて、せめて笑顔で対応したら激怒されることはなかったことでしょう。
Likable(好感を持たれる)であることは、世界に共通する長所です。
翻訳者と通訳者では、求められる素質が異なりますが、やはり、最低限度のことはクリアーしないと組織の中で浮いてしまいますし、肩身だけでなく、将来への扉も狭くなってしまいます。