シアトルから少し離れたところにあるスキー場近くのドイツ村。
そこが私が訪れた初めての海外の土地。
時期はクリスマス前の12月。
寒さは半端じゃない寒さでしたが、あたり一面ふわふわの雪に囲まれた景色の中に、クリスマスの色とりどりのイルミネーションに飾られた家々の眺めは、まるでメルヘンの世界。
その夜は興奮してすぐに眠りにつくことができませんでした。
(と、当時は思ったのですが、実際は時差ボケも重なったのだと思います。)
それは、日本から海外旅行に行く人たちが非常に多かった1980年後半。
その当時、季節に関係なく、アメリカの観光名所には必ず日本からの観光客に遭遇する時代でした。
しかし、今では、グランドキャニオン、ラスベガス、ロサンジェルスどこに行っても日本からの観光客を見かける機会が非常に減りました。
たまに目にするのはセドナで、個人旅行らしき日本からの若い女性。
まあ、アメリカの他にも選択肢が増えた時代ですからね。
その上、アメリカは入国手続きなどセキュリティーが厳しくなっているので、避けられて当然でしょう。
そこで必ず出会ったのは中国と韓国の人たち。
中国の人たちの多くはハイクラス的な若者(アメリカの大学で学んでいる留学生っぽい)。
韓国の人たちはアメリカで仕事をしている米国駐在家族のような人たち。
ロサンジェルスの利便性が良く治安の良い住宅地でハングルが書かれた引っ越し屋さんを何度も見かけました。
さて、その旅先で起こったことです。
普段は自分で車を運転する暮らしですが、ロサンジェルスの交通渋滞は半端ではありませんし、駐車場を探すのが大変です。
その上、現地の人たちの荒っぽい運転にもついていけないので、Lyftを使いました。
(余談:昨年はUberを使いましたが、Lyftの方が良いと現地の人に勧められたので、今回はLyftを使いました。正直言って、違いはあまり感じませんでした。LyftとUberを掛け持ちしているドライバーもいましたし、Lyftのみから仕事を受けているドライバーもいました。Lyftだけで仕事をしているドライバーによりますと、Lyftの方が収入面の待遇が良いそうです。客の印象としては、支払いはほぼ同じ料金。)
夜景を見ようということで、午後5時頃に天文台 (Griffith Observatory) に行くことにしました。
Lyftで出かけたのはいいのですが、すごい渋滞。
目的地の少し手前で車を降りて歩くことにしました。
Lyftのドライバーの戻り道を気の毒に思いました。
みんな夜景を目的に来ているのですから、客を拾うことはできません。
到着するなり早速気になったのが帰りの交通手段。
あの渋滞ではタクシーもLyftもUberも来てくれません。
そこで、天文台の受付の女性に尋ねました。
「大丈夫よ〜。でも、10時に閉鎖して真っ暗になるから、車の手配はそれよりも早めにしてね。あっ、それとWifiは屋内よりも屋外のほうが繋がり易いわよ」と。
楽観的な夫は、「だから心配するなって言ったでしょう。」
しかし、心配性の私には未だ何かが引っかかっていました。
それは、私が20年以上前に、ユニバーサルスタジオに行ったときの経験があるからです。
ホテルに帰るためにタクシーを呼んで待つこと1時間。
一向にタクシーが来る気配はありませんでした。
タクシー会社に数回電話をしても「今、そちらに向かっているから」と繰り返すだけ。
あとで分かったことですが、交通渋滞の時間帯には運転手はユニバーサルスタジオまで行きたがらないという事実。
あのときはまだ日暮れ前だからよかったけど、今回は夜。
しかもあたりには街路灯もない真っ暗闇の中。
だんだん心細くなり、当初の予定よりも早めの8時に帰ることにしました。
さあLyftを呼ぼう。
ところが、電波が?!
アプリが作動しないではありませんか。
Uberを試してみても同じ結果。
根気強い夫がスマホでとうとうLyftのアプリを開けました。
そして、7分以内の距離に数台のLyftを発見。
ところが、誰も私たちのリクエストを受けてくれないのです。
しかも、そのLyftたちの車も渋滞に巻き込まれて全然動いていません。
ジタバタしてもどうしようもない。
そこで、20年前のユニバーサルスタジオの経験を活かしました!
ツアーバスでもなんでもいいから当たって砕くしかありません。
灯に集まってくる虫のように、バス停の灯を目指して早足で歩いていました。
すると、ツアーバスの間に、少し形の違うバスがやって来ました。
そして、そこには長蛇の列。
本能で走りました。
それは、市内まで走るバスでした!
しかも、料金はひとりあたりたったの50セント(50円ちょっと)。
やれやれ、と、乗り込めたまではいいのですが、、、。
バスの中は人でいっぱい。
山の中のクネクネした道のりを立って行くのです(汗)。
こんな満員バスは、東京時代の満員電車以来です。
車内は、外国からの観光客らしき人たちで、聞こえてくるのは外国語ばかり。
個人旅行の人たちが中心。
中には家族旅行らしい人たちもいました。
すると私の目の前に座っていたドイツ人らしい女性に席を勧められました。
一瞬「えっ、私ってそんなに高齢者?」
お礼を言って丁重にお断りしました。
そして次のバス停で少し離れたところに座席が2つ空きました。
その席の周りには中国の学生らしき洗練された男女が4人ほど立っていました。
しかし、誰もその席には座らずに、わざわざ通路を空けて私たち夫婦にその席を譲ってくださったのです。
もう、ここまで来たら見栄を張らずに、ご好意を受け入れるしかありません。
正直、クタクタに疲れていましたから。
ようやく落ち着いて周りを見回すと、みんな若い!
10代後半と20代ばかり。
高齢者扱いされて当然です。
心の優しい海外からの観光客の人たちに優しくしていただき心が温まる経験でした。
文化や言葉が違っても優しさは共通するものですね。
そして、今思うのは、もしもあのバスがアメリカの市内を走る普通の路面バスや通勤電車だったら、はたして席を譲ってもらえたのか疑問です。
日常生活に戻っても心の余裕を失わないようにしたいです。
追記、天文台まで私たちを乗せてくれたLyftのドライバーはロサンジェルに引っ越して来たのがわずか1ヶ月前。
交通が渋滞する時間帯には、目的地選びにはきっと慎重になることでしょう。
それでは、みなさんのもとにいいことがたくさん舞い込んで来ますように!
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