2018年に公表予定のデータ(調査対象356社)によりますと、「CEO」対「社員」の年収比率の中間値は、「140:1」。(* 平均値ではなく、中間値です。)
年収平均値で比較すると、その比率は、「241:1」です(調査対象は同356社)。
企業規模、業界、地域差によって差がありますが、業界別の比率には大きな差が一目瞭然の結果です。
不景気で閉店に追い込まれている小売業界の格差は、なんと驚きの669:1。
では、つぎは、格差比率の小さな業界です。
まあ、ハイテク系は、一般社員自身の報酬もいいですので、比率格差が小さくて当然と言えます。
しかし、疑問があります。
格差1位(669:1)の小売業界。
オンラインショップの利便性と取り扱い商品の多さのおかげでアマゾンが独占的とも言える状況下、アメリカの小売店は総じて苦戦中。
社員の平均年収の669倍も得ている小売業界のどこのどなたがそんな高額な報酬を得ているのでしょうか。
では、つぎは、報酬の高いトップ10企業とCEOのリスト(2016年データ)です。
第1位は、アメリカのチェーン店、最大手のウォルマートのCEOです!
当然ながら、アップル、アルファベット(Googleの親会社)等のハイテク系、投資会社のCEOたちが名を連ねています。
それでも、第1位のウォルマートは、他よりも群を抜いています。
1ドルを105円で換算すると、CEOの年収は248億円超。
これは、2016年のデータです。
2017年のデータでは、ウォルマートCEO (C. Douglas McMillon氏)の年収は、$22.4M。
フルタイム社員の平均年収は、$27,800-(時給$13.38)。
(時給ベースでの比較)格差は、究極の「805:1」。
CEOの高額報酬トップ10には、リテイル(小売業界)は1社しか入っていません。
しかし、同業界の一般従業員の年収は、低いことで知られています。
その点を考慮すると、リテイル業界の格差比率平均の669倍に納得できます。
単純に考えると、CEOは、1社員の669年分の報酬を1年で得ていることになります。
エグゼクティブは、いろいろな手段を講じて業績を数値化できます。
どこの国でも、どのような業界においても言えることですが、末端部分のコストカットが一番簡単ですし、ポジティブな数字に変えるには効果的な策でしょう。
たとえば、旅客航空業界。
正社員のキャビンアテンダントをカットしたり、契約社員に変えたり、機内で提供する食事をカットしたり有料化したり、などです。
小売業界やデスクワークの分野も同様で、人員を削減し、1人あたりへの業務負荷を増やすことで、「コストをカットできた!」と、エグゼクティブは自分のお手柄だと強調できます。
そして、シェアホルダーである株主たちが同意すれば、エグゼクティブの超高額報酬が現実となるのです。
社員1人あたりへの業務量が増えれば、それに付随して問題が発生します。
ワークライフバランスが崩れるどころか、睡眠不足やストレスに心身ともに病気になってしまいます。
大きな問題です。
日本では、働き方改革(働かせ方改革?)が話題に上がっているようですが、アメリカの悪い面を追っていかないことを願います。
格差が他の国よりも小さいのが日本。
治安の良し悪しは、格差の大小に連携して動いていくと感じます。
格差が広がれば広がるほど、治安がますます悪くなっていきます。
少なくとも、それがアメリカの状況。
これから、就職や転職を考えておられる方々は、賃金格差の低い業界を選んだほうがいいのかも知れません。
そして、CEOたちが、企業の業績をよく見せるためにカットできると考えるポジションや業務は、確実にロボットに置き換えられていきます。
では、最後にお国別のCEOの平均年収倍率とGDP(1人あたり)の比較です。
消費者として、どのような企業をサポートしていきたいかも考えさせられます。
それでは、みなさんのもとにいいことがたくさん舞い込んで来ますように!
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トランス ディスカバリーズは、社会人、学生を問わず、学ぶ意欲のある人たちや、
学ぶチャンスに恵まれていない人たちが知識やスキルを身につけ、明るい未来を築いていくことを応援します。
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[References: Bloomberg, Quartz at Work, Los Angeles Times]